居酒屋女将の裏の顔
「どこだ?」
考え事をしながら歩いていたせいで
いつもの道から外れたみたいだ
見渡すと居酒屋ばかり
飲み屋が並ぶ通りか
酒は得意じゃないが
美味い飯が出るかもしれない
食ってから帰るか
「あら珍しい、いらっしゃいませ」
女将さんが出迎えてくれた
まだ早い時間だからか客は自分だけだ
「さぁさぁ席へどうぞ」
とりあえず刺身と飯のセットを頼んだ
酒も付いてくるようだ
普段なら断ろうか悩む所だけど
綺麗な女将さんがお酌をしてくれるみたいだし
それも注文した
食事をはじめて数分後
もう酔い始めた
「大丈夫ですか?」
「!」
女将さんが俺の頬を触る
「あっ、あぁ、大丈夫です」
良い事もあるもんだ
「お酒おかわりで」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫」
下心からまた注文した
数十分後
トイレ横の洗面所
見事に酔いつぶれてしまった
「大丈夫ですかー」
「すいません…」
トイレから出たあと
女将さんの肩を借りてお店の方に戻る
お触りできてもこんな状態じゃ申し訳なさが勝つ
「このまま帰るのは危ないので休んで下さい」
「面目ないです…」
「いいんですよ、お気になさらず」
綺麗なうえに優しいなぁ
「では準備をしてきますのでお待ちください」
「はい」
やっちまったなぁ…
机に突っ伏して後悔しながら待つ
つい飲み過ぎたな…
女将さんが奥の方へ行ってから
どれくらい経っただろう
いつまで経っても帰ってこない
「…どこだ」
目を覚ますと和室にいた
俺は何をしていたんだっけ
「お目覚めですか?」
襖が開いて女将さんがこちらへきた
そうだ
そういえば居酒屋で飲んでいて
でも何でこんな
「大丈夫ですよ」
優しい声だった
女将さんの声は耳に心地良くて
自然とすんなり入ってくる
「安心していいですからね」
そう言いながら女将さんは
俺の耳元に顔が触れるほど身体を寄せて
「全部任せて下さい」
良い匂いがする
不思議な気持ちだ
本当に全てを任せても良い気になってくる
「たくさん気持ちよくしてあげますからね…」
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