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あらすじ
俺には一郎という兄貴がいる。兄貴は俺と違っておしゃれで、どうすれば自分をかっこよく魅せられるかを常に探求している遊び人だ。
現在大学4年生だから、学生最後の遊べる年だと言って遊びまくっている。対する俺は勉強に身を捧げたオタクの大学2年生だ。
そんな兄貴から電話がかかってきた。正直取りたくはないが・・・
「はいもしもし?」
「拓郎〜、ちょっと来てくれよぉ」
「は? こんな時間に行かないよ」
「清子がさぁ、ぐでんぐでんになっちゃってよぉ」
俺はチッと舌打ちをしてから電話を切った。清子とは俺の幼馴染であり、初恋の女性だ。
小さい頃から兄貴が大好きでいつも追いかけまわし、高校を卒業してとうとう彼女の座に収まった。
「といっても、第6彼女の地位だけどな」
遊び人の兄貴にはたくさんの女がいる。清子はそれを知っているけど見ないふりをしている。
「はぁ、あんな男のどこがいいんだか」
言いなりになるのは癪だ。だが清子に会えるかもしれないと思うと俺の足は勝手に動いていた。これも多分、兄貴の思惑通りなんだろう。
清子とは○校生を卒業してから交流がない。だから、ちょっとドキドキしている。
(大学に入って垢抜けたりしたのかな、兄貴に抱かれていい女になってたりするのか?)
そんなことを考えながら、俺は夜道を車で駆け抜けていった。
「ちょっとぉ、おっそいわよぉ」
およそ普通の大学生は行かないであろう怪しいクラブに呼び出され、行ってみるとそこにはぐでんぐでんに酔いつぶれた清子がいた。
「よ、よぉ、久しぶり」
「えぇ? イチくんが2人〜〜?? なんでぇ?」
酔っぱらっているからか、俺と兄貴の区別がつかないようだった。
(清子、綺麗になったな。むちむちしてる、でもなんか少しバカっぽくなったな)
久々の再会だというのに、俺はほんの少しだけガッカリしていた。清子は○校生の時、学年1位であり、スポーツも万能だった。だからこそ、しっかりもののお姉さんタイプになっていると思っていたのに、今目の前にいるのはだらしない、むちむちした巨乳のエロいお姉ちゃんだ。
俺は目を閉じてしまった清子を揺すり、起きろと催促した。すると兄貴はするりと俺の横に立ち、耳元でそっと囁く。
「俺さぁ、清子のことそろそろ重たいんだよね。可愛いしエロいし、俺の好みのためにわざとおバカ演じてるのもいいんだけどさぁ」
「クソが」
「だからさ、せっかくの機会だから抱いてもいいぜ? ずっと好きだったんだろ?」
兄貴の言葉で俺の怒りは曇天を突き抜けた。無言で胸倉をつかむが、兄貴はへらへらと笑ったままだ。
「イチくん〜〜? むにゃむにゃ」
「……帰るぞ」
兄貴を床に突き飛ばし、清子を担いで俺はクラブを出ていった。