金無し、欲無し、希望無し。
学校卒業後、どこにも就職せず、ただダラダラと過ごすだけの日々が幾年か続いていた。
ある日。
そんな俺を心配した叔父が『ウチの会社でアルバイトをしないか』と持ち掛けてきた。
バイトの話なんて本来なら速攻で断るところだが、叔父の勤める会社となると話が変わってくる。なぜなら……。
叔父の勤め先は、某アダルトグッズ制作メーカーだから。
女性用のバイブやらローターやらに関する仕事となれば、もしかしたらラッキースケベ的な何かがあるかもしれない……。
そんな万が一、いや億が一にも無さそうな可能性への妄想が膨らんでしまい、結局俺は首を縦に振ってしまっていた。
叔父は、幾つかのボタンとツマミのついたリモコンを手渡してきた。
何でも、自社グッズの発する微弱な電波を感知し、グッズがどこにあるか、そしてそのグッズが使用中かどうかがわかる探知機のようなものらしい。
街に出てみると……
キュイィィン、キュイィィン……!
ん? 探知機が反応している。どうやらこの辺りに弊社のグッズがあるみたいだけど……どの家だろう?
キュイィィン、キュイィィン、キュイィィン!
い、いや、どんどん向こうから近付いてきてる!? これは家の中じゃないぞ!
誰かが持ち歩いているんだ!!
でもいったい誰が? 今、俺の近くにはOLが一人いるだけなんだが……。
ま、マジか。この、バリバリのキャリアウーマンっぽい、キリッとしたOLが……?
信じられないぞ! まさかこの探知機、壊れてるんじゃないだろうな……。
ポチッ!
あっ、しまった。なんかよく分からないボタンを押してしまったぞ。
OL「――ひぐっ!?」
なんと探知機についていたボタンはローターの遠隔装置だった!
この機能を利用して俺は様々なラッキースケベに遭遇することになるっ!